三津野 真澄
今年の3月9~10日、北京へ行ってきました。目的は「日中環境教育基地ワークショップ」での発表です。たった2日間の北京滞在でしたが、現地のすさまじい大気汚染に咽喉、鼻、眼がやられました。はたして無事にオリンピックを開催することができるのでしょうか。(と私が心配してもどうなるものでもありませんが。)ともかくも今回は北京レポートです。

写真1 ホテルの窓から見た風景、太陽も粉塵で霞んでいる
●ウワサどおりの酷さ、北京の大気汚染!
快晴の関空を出発した飛行機からは雪に輝くだいせん大山が望まれ、機は日本海を渡って朝鮮半島の上空を西進。やがて中国大陸に差し掛かる頃から眼下が全く見えなくなりました。大気は暗黄土色の濃厚な層にすっぽりと覆われ、「これが本場の黄砂か」と妙に納得。機内アナウンスはまもなく北京国際空港到着と告げ、機は下降していきますが、黄砂・煤塵ミックスの煙ドームへ落ち込んでいくような感覚でした。
空港に降り立った瞬間、鼻をつくような濃厚排気ガスの臭い。町に出てみると、広い通りの向こう側がぼやっと霞んで見える程の汚れよう。写真(1)はホテルの窓から朝撮影したものですが、このあと昼間でも太陽は不気味に赤く見えていました。
北京の大気汚染の原因は何でしょうか。それは、急速に増えた人口と車、ほとんど無規制同然だった工場排煙、家庭で今も調理と暖房に使われる練炭、オリンピックを前にしての大建設ラッシュ。さらに北方(内モンゴル)や西方(ゴビなど)での沙漠化によって飛来する大量の黄砂です。
私は北京市内の同じ場所に時をおいて3回(10年前、4年前、現在)訪れています。このポイントでの変遷をみるだけでも北京の変貌ぶりが分かりますので、ちょっと紹介しましょう。(線数は全て片側の数)
・10年前…自動車道2車線、自転車道3車線(自転車でいっぱいでした)
・5年前…自動車道4車線、自転車道1車線、地下鉄工事中
・現在…車道5車線、自転車道なし(自転車ごくわずか)、地下鉄完成、近くに高速道路も開通!
●日中環境教育基地ワークショップとは
さて本題はこちらです。現在、中国では深刻化する環境問題の解決に向けて、環境教育を実施する拠点整備に着手しようとしています。日本のODA(政府開発援助)で作られた「日中友好環境保全センター」は、中国側への技術援助として、今年度から環境教育の新規プロジェクトを始めることになりました。
そして、プロジェクトの開始にあたり、今回の「日中環境教育基地ワークショップ」が開催されたのです。
ワークショップ当日には、10の省や自治区から環境教育担当の行政官、環境NGO、大学・教育関係者など60名が参加しました。日本からは日本キープ協会の川嶋直先生と私が、それぞれ日本の自然学校とエコスクール作りについて発表しました。中国側からは各地においての環境教育事業の事例紹介があり、またスウェーデンからはエコ自治体運動の発表がありました。
参加者は大変熱心に聞き入っており、海外の先進的な環境教育に学びたいというニーズの高さが伺えました。
中国での環境教育は、私から見てですが、これからという感があります。(でもこれは、日本で十分に行われているという意味ではありません、念のため。)
今後ますます環境問題の深刻化が懸念される中国。そして、その汚れた大気や水は国境をたやすく超え、東アジア全体を巻き込もうとしています。中国のみならず、私たち日本にとっても、中国国民の環境意識の向上は差し迫った課題です。
その解決のため、日本が環境教育の分野で中国へ協力することの重要性や可能性を、今回大きく感じました。
帰国の翌日、石川県の空には黄砂が飛来していました(恐らく煤塵も)。『地球はひとつ‥‥。』 日中での環境教育協力、はやく進めたいものです。

写真2 日本のODAで作られた「日中友好環境保全センター」。

写真3 3月10~11日に開催された「日中環境教育基地ワークショップ」開会式