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●地球温暖化と都市構造の深い関係 ~応援します、富山ライトレール!~

三津野 真澄

いよいよ今年一月より、温室効果ガスの削減を義務づけた京都議定書の約束期間が始まりました。日本の場合、2012年までの平均排出量を90年度比で6%減らさなければならないのですが、06年度では逆に6・4%の増加。目標達成は非常に厳しい状況に追い込まれています。

写真1
写真1 富山ライトレールの低床新型車両(富山北口駅にて) 

二酸化炭素など温室効果ガスの排出量の変化を部門別でみてみると、工業など産業部門では減少していますが、家庭や交通部門では大幅に増加。特に問題なのは乗用車です。 
1人あたりの輸送機関別CO2排出量(表)では、乗用車は鉄道の9倍、バスの3倍であることが分かります。

 1人あたりの輸送機関別CO2排出量 (環境省資料より)
  ・鉄道 19 g/km
  ・バス 53
  ・航空機 111
  ・乗用車 175

この交通部門でのCO2排出量は、都市構造によって大きく異なります。
たとえば「日本のヒューストン」と称される宇都宮市。車社会の代名詞となった米国の都市にちなんで、そう呼ばれるのだとか。全区間4車線、総延長34㎞(JR山手線とほぼ同じ)という完全な環状道路が96年に全面開通しました。その結果、沿線には大型商業施設(ロードショップ)が林立し中心市街地は空洞化。住宅地も郊外へと広がり、車がないと市民生活が成立しない街になってしまいました。
宇都宮市では現在1人あたり年間のCO2排出量は1292㎏。全国平均値923㎏の1・4倍、東京(541㎏)や大阪(552㎏)の倍以上となっています。

一方で、いま全国の自治体から熱い注目を集めているのが、富山市の「富山ライトレール」です。旧JR富山港線が廃止され、第三セクターが経営を受け継ぐ形で2006年4月29日にスタートしました。
この時に路線と駅が整備され、車両は低床新型に一新。富山駅北口と岩瀬浜駅間の7・6㎞に全13駅、1日130便以上が15分間隔で運行されています。1回の乗車料金は大人200円(距離に無関係)、始発5時57分、終発23時15分という便利さが市民に歓迎され、開業初年度(3月31日まで)には、337日の営業で約165万人もの利用があり、一日当たり4901人の利用と、当初の目標を大きく上回ったとのこと。
富山市は、1世帯乗用車保有台数が1・7台、自家用車利用の通勤割合72%と、典型的な車依存の都市でした。しかしライトレールの開業が一石を投じようとしています。中心市街地での駐車場確保が困難な企業がライトレールでの通勤切り替えを推奨し始めたのはその一例です。

全国の地方都市で公共交通機関がジリ貧となっている中での成功。路面電車などの活用は、都市全体からのCO2排出量削減には大変効果的です。
さらに富山市では、今後の人口減少や高齢化社会に対応するため、「公共交通を利用したコンパクトなまちづくり」の実現に向けて様々な取り組みを進めていこうとしています。

秋の日曜日、この富山ライトレールに乗ってみました。富山駅北口に停まった車両は白地主体の曲線ボディがカッコいい(写真1)。ホームからは完全にフラットで、乳母車を引いたお父さんも乗り込んできました。車内はほぼ満席です(写真2)。
200円払って終点の2つ手前の東岩瀬駅で下車しました。5分ほど歩くと旧北国街道の町並みが保存されている地区に出ます(写真3)。北前船回船問屋や作り酒屋などが並び、なかなかの雰囲気。ぶらぶら歩いてお腹がすいたら岩瀬浜名物の「しろえび天丼」を堪能しましょう。帰りは終着駅の岩瀬浜駅からライトレールで戻ります。楽しい半日のミニ観光でした。

写真2
写真2 日曜日の午前中。座席はほぼ満席

写真3
写真3 岩瀬地区に残る旧北国街道の町並み。富山ライトレールに乗って見に行こう!