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●魅力いっぱい!北海道の山々

三津野 真澄

8月に北海道の山を訪れました。今回は魅力たっぷり個性豊か、北海道の山二山をレポートします。

雨竜沼湿原から見る暑寒別岳(右)と南暑寒岳(左)
雨竜沼湿原から見る暑寒別岳(右)と南暑寒岳(左)

●しょ暑かん寒べつ別だけ岳(1491m)
北海道の北西部日本海側、空知支庁と留萌支庁にまたがる山で、暑寒別天売焼尻国定公園内にある最高峰。登山道は増毛町側と雨竜町側から計3本つけられていますが、「北海道の尾瀬」と称されるうりゅう雨竜ぬま沼湿原を通る雨竜町からのルートを選ぶことにしました。
登山口の南雨竜荘には前日に到着し、自然保護協力金(入山料)500円を払いました。翌朝4時、まだ薄暗い中を出発。最初はペンケペタン川沿いの道を、吊橋を2回渡りながら進みます。やがて前方には切り立った急斜面が近づきますが我慢して登りきると小さな沢に出合いました。
靴底洗い場
暑寒別岳麓の雨竜沼湿原入口に設置されている「靴底洗い場」


そこには「靴底洗い場」の看板が設置され「湿原に雑草の種を持ち込まないよう靴底に付着した種子を落としてから入山しましょう」と書かれていました。私もブラシで丹念に落としてから進みます。すると前方には雨竜沼湿原が大きく広がり、その向こうには暑寒別岳と南暑寒岳が忽然と姿を現しました。


雨竜沼湿原は東西4㎞南北2㎞に広がり面積は百ha余、ここに大小七百以上のちとう池塘が点在する日本有数の山岳型高層湿原です。木道が整備され、二百種類以上のお花が観察できるとか。固有種も多く、ラムサール条約指定湿地として登録もされています。
早朝に出発したお陰で広大な湿原には私の他、誰一人いません。ゆっくりと木道を歩きながら、次々と姿を現すお花を思う存分楽しみました。しかも、最近固有の新品種として確認された「ウユウコウホネ」まで咲いているではありませんか。もう大満足、ニコニコです!
さて平らな湿原を後にして登山道は南暑寒岳へ向かいます。いったん急斜面を下った後にガレ場の急登を2時間、ようやく暑寒別岳に立つことができました。登山口を出てから標準コースタイムで登り7時間10分のロングコースです。しかし山頂からの大展望はその苦労を吹き飛ばしてくれました。光を浴びてキラキラ輝く雨竜沼、どこまでも緑深い増毛山地。暑寒別岳は実に雄大な山でした。(しかし下山が5時間、甘くなかった‥‥。)


●カムイエクウチカウシ山(1979m)
この名前を聞いてピンと来るあなた、かなりの山好きですね。カムイエクウチカウシ、語源はアイヌ語の「熊が崖から踏み外すところ」。日高山脈の中央部に位置し重厚感あふれる明峰です。
登山口はなかさつない中札内村奥の札内川林道ゲートです。一般車は通行止めなので、まずは2時間の林道歩きに耐えなければなりません。一人大型ザックをしょって歩いている横を、次々と作業車が通っていきます。奥で堰堤工事をしているためなのですが、この林道がまことに立派。トンネルも橋も広々、センターラインまで引かれている。「なぜ一般車通行止めなんだろう、国民の税金で建設した道、私にだって通る権利あるはず!」と腹を立てながら歩く私の横を、次々と通っていく作業車、実に憎たらしいな。
林道終点は七ノ沢出合と呼ばれるポイント。ここで登山口を沢靴に替え、いよいよ札内川の沢登りです。広く気持ちのよい川を膝ぐらいまで水に浸かりながら、ジャブジャブ進みます。前後には人影全くなく、ここでも一人。森の懐に抱かれる心地よさより次第に緊張感が勝ってきます。「ヒグマが出たらどうしよう~」右手には常に熊撃退スプレーを握り締めながら渡渉の連続。その時です、バシャバシャと背後で大きな水音!ハッと振り返れば、エゾシカが数頭走り去っていくところでした。(よかった~)
水澄んだ札内川を遡って進む
水澄んだ札内川を遡って進む


2時間の沢登りで到着した八ノ沢出合、この川原が今晩のテントサイト。小さなテントを張っておやすみなさい。
翌朝4時、沢靴で出発。コースは札内川支流の八ノ沢を遡って行きます。2時間で三股というポイントに着きました。文字通り沢は3つに分かれていますが、その何れもが滝となり美しい姿を見せています。大きな残雪の脇を通り真ん中の沢の右側を進みます。
何度か小滝をよじ登り沢をつめて八ノ沢カールに到着。ここは三方をぐるり屏風のような急斜面に囲まれ、高山植物が咲き乱れる別天地。ニコニコ顔で進んでいく私の前には一枚のプレートが。それは昭和の時代に3人の大学生がヒグマで襲われ犠牲になった慰霊碑でした。横の大岩の上で遺体を焼いたとか、今も黒い跡が残っているのです。熊スプレーを持つ右手に思わず力が入りました。
カール底から屏風の壁を登り稜線に出て、ハイマツを掻き分けながら進むこと1時間半、無事山頂に至りました。かかっていたガスが晴れ青空が広がり、日高山脈の全貌が姿を現しました。氷河時代の名残であるカールに削られ、鋭く天を突くような峰々。最高峰ぽろ幌しり尻岳の勇姿に心躍る瞬間でした。
カムイエクウチカウシ山
八ノ沢カールから仰ぎ見るカムイエクウチカウシ山


北海道の山は原始の姿を残し、それぞれ個性的で大好きです。このような自然が日本に残っていることに喜びを感じます。
今回は他に、夕張岳とアポイ岳にも登りました。
次回はどの山に登ろうかな‥‥、楽しみ!