2005年5月30日 三津野 真澄
前回に続いて今回もデンマークの紹介をしましょう。風力やバイオマスなど自然エネルギーを活用してエネルギー自給率139%(つまり輸出もしている)を達成し、二酸化炭素排出量を2005年までに25%もの削減(1988年比較)に成功したデンマーク。この環境改善へ取り組む姿勢は、まちづくりや交通システムといった分野でも垣間見ることができます。
デンマーク第二の都市、オーフス市。ユトランド半島北東部に位置する人口40万人の港町であり、文教都市としても知られています。かつてこのオーフスでの主な交通手段は自動車でした。車優先型の都市計画を行った結果、ビュンビュン走る車を避けて歩行者が恐る恐る歩くという光景がみられたそうです。
ところが1993年、自転車中心の新都市計画が発表されます。その概要は次のようなものでした。
・市内の主な道路は自動車通行禁止とし自転車と歩行者のみが通れるようにする
・車通行可の道には自転車走行ゾーンと歩道を完備する
・駐輪所を各所に設け、電車やバスにも自転車を乗せやすいよう車両と駅を改造する
・コンクリートで蓋をされ駐車場になっていたオーフス川は、蓋を撤去して運河と歩道を復活する
私が訪れた3月、自転車通行ゾーンは路面を水色で塗られるなどしてはっきりと区別され、颯爽とペダルをこいで職場や学校へ向かう人々で一杯でした。また国鉄やローカル線の車両には入口の扉に自転車マークが描かれ、ここには広い自転車スペースが確保されています。駅の中まで自転車をこいで入りそのまま車両に向かう人もいるくらいです。
このオーフス大改革は着工から完成までわずか3年という短期間で行われました。どのようにして市は改革プランを作り上げ、住民の賛成を得たのでしょうか。
最初は「車通行禁止とすると買い物客が他の町に流れて売上が減る」と商店街の人々は反対したそうです。これに対して市は、まず詳細に計画案を情報公開し、地区ごとに住民と話し合いをもって人々の意見を拾い上げ、修正案を練り直し、再度話し合いを持って‥‥、という繰り返しをしました。粘り強くみんなで考え「合意」を練り上げた結果、実行段階ではスムーズに運んだのです。
さらに市や企業は自転車通勤を奨励し、「自転車で通勤した人は抽選でグリーンランド旅行にご招待!」というキャンペーンもあって、一気に自転車通勤が広まったそうです。
心配された商店街はどうだったのでしょうか? 実は歩行者と自転車が増えお店に活気が戻り、売上も増えたのです。コンクリートの蓋を外し運河を復活させた地区では、水辺にカフェやレストランが次々とオープンし、春から夏には屋外でビール片手に食事を楽しむ人々で一杯だそうです。
排気ガスも騒音もなくなり町に賑わいが戻ったオーフス市。「合意(コンセンサス)会議」の成果を、いま市民は喜びあっているのです。

オーフスでは郵便便配達も自転車。とても楽しそうに配達していました。

自転車通行帯は車道、歩道と明確に区別され、このようにカラー舗装化されているものも多い。

オーフス市に限らずデンマークでの主要交通手段は自転車。通勤時間には町に多くの自転車が行き交う。