« 会報しらやまNo65 2005年2月発行 | メイン | 第16回 総会 2005年3月13日 »

●デンマークの挑戦(その1) 自然エネルギー編

2005年3月8日 三津野 真澄

「デンマーク」と聞いて、皆さんは何を連想しますか。北欧の小さな国、アンデルセンと人魚姫、世界でも数少ない王国‥‥といったところでしょうか。ドイツの北、スウェーデンの南に位置し、国土の大半が北海に突き出たユトランド半島です。面積は四万三千㎡(九州とほぼ同じ、但しグリーンランドを除く)、人口五百四十万人(北海道よりやや少ない)、首都はコペンハーゲン、主要産業は農業で福祉国家でもあります。

このデンマーク、近年は環境への先進的な取り組みで注目の的なのです。今回より2回連続でその紹介、1回目はエネルギー政策です。

デンマークは現在エネルギー自給率が139%(つまり輸出もしている)、ちなみに日本は20%です。実は第一次石油ショック当時のデンマークは、自給率が2%と異常に低い値でした。当時国内エネルギーの9割以上を輸入原油に依存していたため原油の国内価格は3倍以上に跳ね上がり、国全体はパニック状態。そこで政府はエネルギー計画を立て、石油から石炭への転換、省エネの推進、炭素税・エネルギー税の導入、コージェネレーション(熱供給発電)システムの開発などと共に、自然エネルギーの積極的利用に着手しました。

「自然エネルギー」とは再生可能エネルギーとも呼ばれ、風力、太陽光、地熱、バイオマス、廃棄物など、エネルギー資源として枯渇せず基本的に二酸化炭素などを排出しない、クリーンなものとして定義されます。

デンマークは国土が平坦で一年を通じて風が強いという特徴を生かして、まず風力発電の利用を図りました。主に市民の共同出資(組合形式)によって建設が進み(約8割が市民出資のもの)、現在では約6500基、250万キロワットと世界一の風力発電国。また風力発電機はデンマークの主要輸出品としても重要で、現在は世界シェアの55%を占めるに至っています。

現地では平坦地はもちろんのこと海上にも大規模なウインドファーム(風の農場)が多数建設され、北海からの風を受けて力強く回っているのを見ることができました。

風力発電機
写真1 風力発電機
コペンハーゲンを代表する観光地である人魚の像。その背後にも大型の海上風力発電機が回っている。


もうひとつの特徴的な取り組みは、バイオマス(生物資源)発電でしょう。畜産が盛んなデンマークでは家畜の糞尿による地下水汚染が懸念されたことがきっかけで始まりました。現在では糞尿や敷藁に農業廃棄物や家庭からの生ゴミ等を加えて発酵させ、発生するメタンガスを用いて発電します。また生じる温水を暖房・給湯用として地域の家庭にパイプで供給されています。このようなバイオマス発電所が現在、国内に18基稼動中です。

20050308_image2.jpg
写真2 バイオマス発電所
畜産農家10戸の共同出資で運営されるオーフス市郊外のバイオマス発電所。年間300万m3のメタンガスが発生し、電気と温水の売上が年間2億5千万円だという。


デンマークでは2005年までに二酸化炭素を20%削減(1988年比較)し、さらに2030年までに半分にまで減らすという高い理念に基づいた目標を立ててきました。そして今回紹介してきたような取り組みの結果、2004年で既に25%もの削減に成功しているのです。