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●白山は脆いカレーライス

2004年6月9日 三津野 真澄

5月17日、私は白峰にいました。別当出合の吊橋が流されたその日です。数日間激しい雨が降り続き手取川は大増水。桑島のダム湖では泥水面が国道脇まで上昇していました。「こんな手取川を見るのは初めて~」と興奮しながら写真を撮りました。

手取川増水

その日は仕事で甚ノ助ヒュッテまで行く必要があったのですが、残念ながら白山公園線は通行止め。緑の村付近での手取川は堤防から溢れんばかりの濁流です。「白山は脆いカレーライス。この雨で崩れるだろうなぁ。」でもまさか吊橋が土石流で流されるとは想像できませんでした。

『白山カレーライス説』は高校時代の地学の時間に教わったたとえ話で、白山の地質は大雑把に言って3つの部分からなるというものです。

まず基盤となる硬くて丈夫なお皿、これは先カンブリア時代の飛騨片麻岩という硬い岩石で、数億から十数億年前に形成された日本で最も古い岩石です。お皿の上に盛られたご飯は、中生代ジュラ紀の堆積岩。当時の白山は浅い湖または湿地帯でシダ植物が繁茂していました。それを食べる草食恐竜、さらに肉食竜。手取ダム側壁の地層からは恐竜の歯や骨、足跡の化石が数多く発見されています。そしてご飯の上にかけられたカレールーは、白山火山からの溶岩や火砕流堆積物です。

ご飯もカレールーも軟らかいため雨水等により浸食を受けやすく、崩れた境界は現在、切り立った崖として観察されます。


白山崩壊

溶岩の末端がよくわかる 観光新道より見る不動滝付近。「ご飯とカレー」が浸食されたため切り立った崖になっている。


さて、白山周辺では浸食された土砂による土石流を防ぐための砂防堰堤の建設が盛んです。しかし5月17日の大雨では単なる土砂の崩壊だけではなく、堰堤堆積物と堰堤のコンクリート塊自体が土石流を形成して吊橋を破壊する原因となったのではないかと思えて仕方ありません。もしも堰堤がなかったならば、通常の雨で少しずつ崩壊と流出を繰り返していた土砂なのに、堰堤で留めておいたばっかりに一気に流出してしまった‥‥。ならば、莫大なお金を費やして作り続けられている白山の砂防堰堤は何の意味をもつのでしょうか。

白山はカレーライス、崩れるのが当たり前。崩れる白山とうまく付き合っていくか、絶対に崩れない強固で強大な堰堤(作れればの話ですが)を無数に張り巡らして白山をがんじがらめにするか。結論を出すのはそう難しくないように思えます。